Pegasus R4 8TB
Thunderboltは電光石火で仕事をするのか?
処理速度は確実に速い! アルミ製のしっかりした筐体 発熱・耐熱は合格
静音ではない 初期化に10時間! 日本語のマニュアルが無い
Thunderbolt ~雷鳴と電光~
オーストリアのワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世が作曲した同名のポルカがあります。
ポルカはボヘミア起源の、二拍子の活発な舞踏および舞曲です。軽快なリズムに乗せて、雷がピカッと光る様を
シンバルが、ゴロゴロと鳴る様を大太鼓がユーモラスに表現する名曲です。ウィーン・フィルのニューイヤー・
コンサートでは必ずと言って良いほど演奏されます。
ポルカとは全く関係ありませんが・・・
かねてより、音楽データの保存に関してはもう少し何とかしなければならないという思いがありましたが、ここに
来てThunderboltという新しいインターフェイスに出会ったことで一つの転機が訪れました。新しい外付けHDDを
購入しようと決断したのです。
Thunderbolt はIntelが開発し、Appleが実用化した新しいI/Oインターフェイステクノロジーです。先日購入
した新しいMac miniにも搭載されているので、これを使わない手はありません。ところが生まれて間もないインタ
ーフェイスのため、対応デバイスはAppleのThunderboltディスプレイ、一部のストレージやアダプタなど極僅か
な製品しかありません。また、この先Thunderboltが普及するかどうかもわかりません。皆さんは使い道が無いと
言ってまだ懐疑的な見方をされているようですが、使い道は自分で作るものです。PCオーディオにとっては非常に
魅力的なインターフェイスだと思っております。これを利用することで必ずや良好な結果をもたらすであろうと
私は信じて疑いません。
滋賀県草津市にあるApple製品正規販売店であるkitcut(キットカット)のオンラインショップより、
PROMISE Technology社のPegasus R4 RAID System 8TB Thunderboltという外付けHDDを購入しました。
R4はHDD4基を搭載するモデルで、8TBと4TBの2タイプがあります。R6というHDD6基を搭載したモデルもあります。
現在Apple Store の他にはkitcutでしか販売されていないようです。本機はApple Storeでは定価の179,800円
ですが、kitcutでは19,000円も割安で購入することができました。
購入の目的は音楽データの保管用です。本機を購入するのに、CDプレーヤーや使っていないオーディオインター
フェイスなどを全て売り払って資金を捻出しました。もう私の手元にはCDプレーヤーはありません。これからは
PCオーディオのみで音楽を聴くことになります。我ながら随分と思い切ったことをしたものだと思います。
2月6日に注文しました。在庫があったので2月8日には手元に届きました。迅速な対応でした。
構成は、7200rpm 2TBのHDDが4基。RAID 0 / 1 / 5 / 6 / 10に対応します。搭載されていたのは、日立グロ
ーバルストレージテクノロジーズ(HGST)のDeskstar 7K3000 2TB(HDS723020)でした。coneco.netの
レビューでも高評価を得ているHDDです。それを収める筐体は、奥行き24.5cm、幅18.5cm、高さ19.5cm(実測値)
のアルミ製で重さが6.9kgもあります。同じアルミ製のLaCie 2big quadraよりも遥かにしっかりした作りです。
電源スイッチボタンがフロントパネルにあるのが非常によろしい(笑)。
リアパネルを見ますと非常にシンプル。USBポートもFireWireポートもなく、UPSポートとThunderboltポート
2基しかありません。電源は外付けACアダプタではなく内蔵式です。メガネ端子ではなく、3ピンのIECコネクター
なのが嬉しいところです。10cm級のメイン冷却ファンと4cm級の電源装置冷却ファンが付いております。
ホストのパソコンはThunderboltポートを持つMacに限定されます。接続はApple製のThunderboltケーブルで
行ないます。これもkitcutより購入しました。Apple Storeでは定価の4,800円、kitcutだと4,530円と若干割安です。
見た目はミニディスプレイケーブルです。プラグ部分もほとんどミニディスプレイポートと同じですがThunderboltの
稲妻のマークが刻印されています。この小さなプラグの内部には様々なチップが埋め込まれているそうです。
単にデータを伝送するのではなく、ケーブル自体でもThunderboltを制御する仕組みになっているようです。
ケーブルの外見は思ったよりも細く、被覆はウレタンのような素材で特別凝ったものではないように見えます。
最大転送速度10Gbpsを誇るケーブルにしては少々頼りない感じがします。今のところ2mのものしか販売されて
おりませんが、長さのバリエーションはできるのでしょうか?また他のメーカーがこのケーブルを作るようになる
のでしょうか?興味深いところです。
本機をどこに設置するか少々迷いました。剥き出しにして置くことも考えましたが、CDプレーヤーが無くなった
ことでオーディオ・ラック内にかなりのスペースができたので、ラックに収めることにしました。底面にはゴム足
が付いていますが、防振対策として厚さ5mmのソルボセインのシートを小さく切ったものをゴム足に貼り付けた上
で置くことにしました。防振対策にはつまらないインシュレーターよりも断然ソルボセインです。シートを好きな
大きさに切って使えますのでとても重宝します。皆さんどうぞご記憶下さい。
電源ケーブルは勿論同梱されています。3カ国の電力事情に合わせた3パターンのプラグのケーブルが入っていまし
たが、そんなものは使いません。私には高性能シールド電源ケーブルという強い味方があります。これを使って
高性能ダウントランスの115Vのコンセントから給電することにしました。
電源ケーブルをコンセントに差し込むと勝手に電源が入り、自動的に初期化が始まりました。リーフレットには
10時間ほどかかると書いてありましたが、実質的には8時間ほどを要しました。ただ、初期化がいつ終わったのか
が今一つよくわかりませんでした。梱包にはクイックスタートガイドのリーフレットしか入っておらず、マニュアル
はPROMISE Technologyのホームページからダウンロードするようになっています。ところがこれが英語のみ。
悲しいかな言葉の壁は厚く、さっぱりわからず・・・ちょっと不親切のような気がします。日本で販売するので
あれば日本語のマニュアルを用意して欲しいところです。PROMISE Technology Japanという日本のオフィスが
あるのですから。ここは大きな不満点です。
LaCie 2big quadraはラック内で稼動させるとすぐにオーバーヒートしましたが、本機はラックのガラス扉を
閉めて8時間ぶっ通しで動かしても筐体はいくらも熱くなりませんでした。強力な冷却ファンのお陰かもしれません。
発熱・耐熱に関しては合格点を与えられます。
メーカーの商品ページでは、超静音設計なので音を全く気にすることなく利用できます、と静音性をアピールして
いますが、実際はちっとも静かではありません。音楽をしんみり静かに聴いていられるレベルではありません。
嘘言うんじゃねぇよ!って感じです。4基のHDDと冷却ファンが回るのですから全く気にならないほど静かになる
わけがありません。常にヒューンという音が付きまといます。HDDの稼動音だけなら我慢できそうなレベルですが、
うるさいのはHDDよりも冷却ファンの回転音です。私にはかなり「うるさい!」と感じられました。扇風機を強回転
にしているみたいな嫌な音・・・やはり冷却ファンがネックです。これがなければかなり静かだと思うのですが。
ラックに収めてガラス扉を閉めるとまぁ何とかましになるかな、という程度です。剥き出しにして使うと間違いなく
うるさいです。もし購入を検討されている方がおられましたら、音の点は考慮に入れておいた方がよろしいと思います。
冷却ファンが無いと熱くなってしまう、ところがファンが回るとうるさい・・・相反する課題です。何とかならない
ものでしょうか。静音性に関しては非常に残念であると言わざるを得ません。オーディオ的観点での静音と、
PCパーツメーカーで言うところの静音にはかなりの乖離があると感じます。ただ、人間の聴覚は自分自身に都合の
良いようにできています(前にも書きましたが)。初めはうるささが気になっていても、音楽を聴くことに集中して
いると時が経つにつれ気にならなくなるものです。現在使っているLaCie 2big quadraがそうでした。そうなる
ことを期待しましょう。
無事に初期化が終わり、Thunderboltケーブルを接続して電源を入れ直すと見事にMac miniが認識してくれました。
アイコンを開くとPromise Utilityというソフトをインストールするようになっています。これで各種設定を
行なうのですが、表記が英語なので何が何だかよくわからずくじけそうになりました。操作画面も日本語化して
欲しいと思いました。プラグインとかで何とかならないものでしょうか?
あれこれいじっている内にようやくRAID0に設定することができました。これは2TBのHDD4基を8TBの一つのHDDと
して扱う構成で、読み書きの速度が最も速くなる設定です。但し、データを保護する機能を備えていないので、
RAID0を構築するHDDが1台でも故障してしまうとデータが消失してしまいます。バックアップをしっかり取る必要
があります。リスクはありますが、こうすることでリッピング時や音楽再生時の処理速度が最大限になり音質が
向上するはずです。最後にMac miniのディスク・ユーティリティでフォーマットし直してようやく使える状態に
なりました。やれやれ(汗)。
Pegasus R4を起動するには電源ボタンを押すだけですが、終了する時は画面上でマウントを外す作業をしてから
電源を落とします。電源ボタンを5秒ほど長押しすると電源が切れます。
次は音楽データのお引越しです。
まず、コピーに要した時間を比較しました。これを見ることで、実質的作業の速さが凡そでもわかると思います。
Mac mini(Late 2009)を使っていた頃、LaCie 2big quadraに保存してある総容量約800GBの音楽データファイル
をLaCie Hard Disk MAX Hi-Speedにコピーするのに、それぞれUSBで接続すると凡そ12時間を要しました。
Mac mini(Mid 2011)を購入後、総容量約900GBの音楽データファイルをLaCie 2big quadraはFireWire 800接続、
LaCie Hard Disk MAX Hi-SpeedはUSB接続にしてコピーするのに要した時間は凡そ9時間。FireWire 800接続
にしたことで転送速度が向上して時間が短縮されたのだと思います。更にパソコンのスペックが上がったことも
影響したと思います。
そして、今や総容量1.13TBにまで増えた音楽データファイルを、FireWire 800接続のLaCie 2big quadraから、
Thunderbolt 接続のPegasus R4にコピーするのに要した時間は凡そ4時間。二つのHDDをUSBで接続してコピー
した時の1/3ほどの時間で済みました。これだけ見てもThunderboltの転送速度が如何に速いかがわかります。
今回はベンチマークテストも実施してみました。
・Mac mini(Mid 2011)内臓の80GB Intel 320 Series SSD
・LaCie Hard Disk MAX Hi-Speed
・LaCie 2big quadra
・Pegasus R4
四つのHDDのテスト結果を添付しておきます。
首尾良くコピーも終わりました。それでは、再生してみます。どんな音になるでしょうか(ワクワク)。
コピーされたデータを再生します。
昨年の終わり頃から、リッピングはiTunesではなく、フリーウェアのX Lossless Decoder(XLD)という
リッピング専用のソフトで行なうようにしました。ここでは多くを記述するのは控えますが、iTunesよりも確実に
高音質でリッピングできる非常に優秀なソフトです。
再生ソフトは、Audirvana PlusというiTunesよりも遥かに高音質の有料のものを導入しました。コピーした
音楽データは44.1kHz/24bitでリッピングしたものです。これを192kHz/24bitにアップサンプリングしての試聴です。
J-POP、ジャズ、クラシック、イージーリスニング、海外POPSなど一通り聴いてみました。
S/N比がアップして、今までよりもベールをまた1枚剥ぎ取ったかのように澄み切った音です。ダイナミックレンジ
も広くなった感じで、特に今までは聞き取り難かったような弱音部分の明瞭度が向上しました。もう少しタイトに
なって欲しいと思っていた低域の解像度が上がり、クラシックでは右側のスピーカーから定位感を伴ったコントラバス
の音がようやく聞こえるようになりました。ヴォーカルはリアルの一言。すぐそこで歌っているような臨場感です。
今までも十分に濃い音でしたが、予想通り、更に濃い音になりました。これは情報量がより増えたということを
意味します。デジタル音源は転送速度が向上するに従ってより高音質になる、というのは確実なようです。
将来的には大容量のSSDでRAIDを構成したいものです。そうなれば冷却ファンも必要でなくなるかもしれないし、
本当に気にならないくらいに静かになると思います。Thunderboltと組み合わせれば途轍もない速度の読み書きも
可能になるかもしれません。Thunderbolt対応の大容量外付けSSDの登場を期待したいところです。
更にオーディオインターフェイスやリッピング用の光学ドライブもThunderbolt対応になれば、かなりの高音質
でのPCオーディオが実現するのではないかと思います。
この後、リッピングし直して再度試聴するなどの実験を行ないましたが、それをご紹介すると長いレビューに
なってしまうのでブログで公開する予定です。興味を覚えた方は閲覧していただけると幸いです。
ところで・・・完璧に調整されたアナログレコードプレーヤーで再生された音は極上です。
レビューでは盛んにデジタルは転送速度だ!ハイレゾ音源は凄いんだ!と強調して参りましたが、それらとはまるで
次元が違います。CDプレーヤーやPCオーディオが太刀打ちできるような相手ではありません。面倒臭がりの私には
アナログレコードプレーヤーを完璧に調整することなどできません。とても手に負えません。忽ち身上潰してしまいます。
パソコンで再生しようがCDプレーヤーで再生しようがデジタル音源というのは、首尾良く録音されたアナログ音源には
どう逆立ちしても敵わないのです。今や音源はデジタルが主流になりPCオーディオも更に普及すると思いますが、
音楽制作に携わる者もオーディオを趣味とする者も決して忘れてはならないことがあります。「それでも最上の音は
アナログである」ということです。
PCオーディオの深みにはまるにつれ、その感が強まる今日この頃です。
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