AF5770-1024D5S1
1スロットのミドルレンジGPUデメリットに目を瞑れればアリ!
1スロットのHD5770ミドルレンジGPU!
耳障りなFANの騒音とコイル鳴き
今回はPCパーツ体験レビューサービス「PCパーツ長者」で幸運にも当選したAFOX AF5770-1024D5S1をレビューしたいと思う。
■概要
概要としては、AMD RADEON HD5770チップを搭載した1スロットのビデオカードで、AMD RADEON HD5770チップ搭載ビデオカードは標準的な形状として2スロット仕様となっているため、PCI Express x16直下のPCIやPCI Express x1などの拡張バスをふさぐ形になってしまったり、また省スペースPCや大手メーカー製のPCで物理的な制限により搭載できないこともあるため、1スロットのミドルレンジGPUは一部の人にとって待ち望んでいた製品だろう。
■付属品
付属品は、ビデオカード本体、ペリフェラル4ピン→PCI Express 6ピン変換電源ケーブル、マニュアル、ドライバ、デカール、そして今回はおまけにLEDライト付きドライバーが付属していた。しかしながらCROSS FIREブリッジケーブルは付属しておらず、CROSS FIREXの構築を考えている場合には、玄人思考などからリリースされているCF-BRIDGEなどの単品購入がある点は気を付けてほしい。
■パフォーマンス
パフォーマンスとしてはリファレンスのHD5770と同様の周波数で動作している為、他のHD5770搭載製品とほぼ同等だと思っていい。実際にベンチマークを取ってみても、オーバークロック仕様のMSI R5770 Hawkとほぼ同等の性能をたたき出しており、これは、GeForce GTX260に匹敵するパフォーマンスであるため、現在のミドルレンジGPUとしては十分なスペックを持っていると言える。
今回は、製品の性格上、新規に購入するとは考えづらい為、最新のハイパフォーマンスのPCでテストするのではなく、3GHz前後のマルチコア環境が現状でおおよそのミドルスペックと言えるであろうと考え、あえてCore 2 Quad Q6600を3GHzへとオーバークロックしたものとの組み合わせで、各製品ベースのゲームベンチマークを取ってみることにした。
この組み合わせでも1920x1080という解像度にフルオプションでも30fpsを切ることは稀で、比較的動作の軽いゲームであれば60fpsを超える勢いであり、これは、例えば、1280x720という解像度がメインで動作しているXBOX 360やPLAYSTATION 3よりもパフォーマンスが高いので、一般的なユーザーがゲームをプレイする環境としては十分であるともいえるだろう。また、GeForce GTX480なども搭載してみたのだが、CPUパフォーマンスが追い付いているとは言い難い状況となっているため、やはりこの程度のスペックの場合には、ミドルレンジのGPUと組み合わせた方が宝の持ち腐れにならないとも感じられた。なお、各ベンチマークの詳細は画像の方で確認して欲しい。
ベンチマークに利用したPCのスペック
intel Core 2 Quad Q6600 2.4GHz → 3.0GHz(オーバークロック)
DDR2-SDRAM 800MHz 2GB x4 = 8GB
intel SSD X25M-G2 80GB
SOUND ONBOARD (Realtek)
Driver
Catalyst 11.1 w/CAP 11.1
GeForce Driver 260.99
■消費電力
消費電力も他社のHD5770とほぼ同等である…のだが、残念ながらアイドル時にメモリークロックが他社製品は300MHzまで落ちるのに対し、今回の製品は900MHzまでしか下がらなかったことが災いしたのか、アイドル時の消費電力がMSI HD5770 HAWKに比べ10W以上高くなってしまっている。メモリーの仕様によるものなのかはわからないが、今回の製品で残念だった点の1つだ。
アイドル中の消費電力
AFOX AF5770-1024D5S1 - 88W
MSI R5700 HAWK - 75W
■温度・排熱
GPU温度に関しては、画像のグラフを見てもらえばわかるように、最高到達温度は他の2スロットのビデオカードと比較しても遜色のないものとなっている。1スロットになったからと言って熱暴走するようなことはまず考えられないだろう。
ただし、アイドル時の温度はファンの回転数が極限まで抑えられているからなのか56度と非常に高くなってしまっている点は気になるところだ。もしかしたらば、省電力モードへとコア周波数が150MHzへと下がっているのだが、電圧はそのままなのかもしれない。ここも残念な点の1つであると言える。
■ヒートシンクファン・騒音
ヒートシンクにはヒートパイプが埋め込まれており、あたかもベーパーチャンバーを彷彿とさせるかのように熱をいたる所へ拡散させるように狙って設計されているように見える。
ファンはシロッコファンとなっているのだが、このシロッコファンの音が少々気になる。動画の方を見てもらえばわかると思うのだが、決して静穏タイプと言えるような内容ではない。また、コア温度が上がるにつれ、ゲームやベンチマークではGPUファンが70%を超える場面も出てくるのだが、コーっという音が非常に大きくなり、少々気になってしまう可能性は否定できない。
また、かなり早い段階で高い回転数に到達するため、少しでもGPU温度が上がると回転数が一気に上がる状況となる。ゲームやベンチマークであれば70~80%程度を維持する感じとなっていた。
その他にも、ジジジ・ピーピーというコイル鳴き特有の音も出てしまっており、少々不快感があるのも事実だ。こちらも動画の後半で確認できると思う。
今回比較に用いたMSI R5770はGPU温度は高めなものの静穏方向へ振っている為、60%程度の回転ではほぼ無音で、実際にゲームをプレイしている状況でもAFOXとR5770HAWKともに70%前後の回転数になるものの、AFOX AF5770は70%程度ではかなり耳につく音を発するのに対し、R5770HAWKは70%程度でも非常に静かであり、AFOX AF5770はかなり「ウルサイ」レベルの音を発生してしまうのは間違いない。
ただし、もちろんアイドル中でGPU温度が低いうちは気になるほどでもないので、FANの回転数があがっても、それがゲーム中などであれば、ゲームの効果音でかき消されるようなレベルであるともいえるため、気にならない人は気にならないのとは思われるが、この辺は個人差があるとも思われるため、何とも言えない。
その他、20%台の回転速度の時に、FANが回転を停止してしまっているのも気になった。おそらく、回転に対する抵抗が大きい為であると考えられるのだが、意図せず回転していないという状況なのであれば、少々問題なのではないかという気がする。GPU温度が上がり、FANの回転数が上がれば回転し始めるのではあるが、回転していない状況ではモーターに過大な負荷がかかってしまっている為、できればFANコントロールができるユーティリティで40%程度にしておいた方がいいだろう。
■CROSS FIRE X
AF5770-1024D5S1は2way~4wayのCROSS FIRE Xに対応しているのだが、代理店からの案内で、3way以上の場合CROSS FIREブリッジケーブルが少々浮いてしまうという欠点のため、動作保証はできないという案内が箱の中に入っていた。できればこれは購入してから箱を開けて初めて知らせるという形ではなく、箱の外に注意点として警告しておくべきだろう。
CROSS FIRE Xのパフォーマンスについては、有効に働くゲームでは非常に優秀で、GeForce GTX260のSLIとほぼ同等のパフォーマンスで、これはおそらく、RADEON HD5870などと同等レベルの性能を発揮しているのではないだろうか?
ただし、CROSS FIRE X、SLIともに、ゲームによっては効果が見られないどころか、パフォーマンスが落ちてしまったり、そもそもゲームが起動しなくなってしまうというものまであるため、あまり過信しない方がいいだろう。例えば、今回の場合は、egoエンジンのF1 2010ではほとんどパフォーマンスの向上が見られず、また、同じegoエンジンを搭載するDiRT2は起動しなくなってしまった。その他にもDirextX11版のLostPlanet2ベンチマークではCROSS FIRE X構成ではフリーズしてしまい計測することができなかった。
それでも、現在HD5770を所持していて、自分が良くプレイするゲームがCROSS FIRE Xに対応しているのであれば導入の価値は十分にある。…と、言いたいところではあるのだが、現在ではRADEON HD6850やHD6870が今回のAF5770-1024D5S1と同様の価格で廉価に販売されている為、これらのCROSS FIRE Xの欠点を考えると、2スロットのビデオカードを搭載できるPCであれば、わざわざあえてCROSS FIRE Xを組むよりも、素直にHD68x0やHD69x0へと入れ替えてしまった方がいいだろう。
■総評
総評としては、今回のAF5770-1024D5S1は、かなりニッチな製品であるように思える。2スロット占有のビデオカードが利用できるPCにわざわざ導入するメリットはないので、PCI Express x16直下のスロットがどうしても利用したい場合や、メーカー製PCでどうしても1スロット仕様のビデオカードしか導入できないといった場合程度しか利用用途が思い浮かぶことは無く、率先してこの製品を選ぶような状況というのは極めて稀な状況であると思う。
それでも、そういった極めて稀な状況に陥る人というのが必ずいるというのもまた事実で、例えば筆者の場合は、マルチモニタ用の2枚目のビデオカードとしてR5770 Hawkを利用していたのだが、直下のPCIスロットが利用できなくなってしまったため、泣く泣くビデオキャプチャカードを取り外したという経緯もあり、このボードのおかげでビデオキャプチャを再導入することができるようになったので、こういったニッチな市場向けの製品というのはいざという時に非常に役に立つため両手を挙げて歓迎したいし、それを製品化し、実際に販売してくれているAFOXには賞賛を送りたい。
少々話は変わるが、ヒートシンクカバーにでかでかとAMDのロゴがあったり、基板にもFCC/Advanced Micro Devicesの名称がシルク印刷されてあったりと、これはもしかして、実はAMDのリファレンスモデルなのではないか?と思わせるような節がいたるところに隠されている。もしかしたらば、この製品が好評であるようであれば、他のメーカーからも続々と1スロットのHD5770がリリースされるのかもしれない。
==3/23追記==
1か月以上使ってみての感想だが、やはりFANが止まるのは精神的に心地よいものではないし、負荷がかかった時のFANの騒音たるや、短時間であったり、ヘッドフォンをするなどをしなければ許容範囲内とは言い難いものがある。
ただし、1スロットである点がそれらのデメリットを上回った場合には、この製品はとても大きな魅力がある。どうしてもスロットを潰したくない場合、直下のPCIやPCI Expressを利用したいという場合には1スロットのビデオカードしか選択肢が無く、その中でもパフォーマンスも犠牲にしていないという点では良いものであると思う…のだが、それだけに、やはりFANに関する問題だけはどうにかして解決してもらいたいものだとも思ってしまうのだ…。非常に惜しい製品である…。
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